ミスマッチな喫煙室

たばこを吸わない人はたばこのニオイに敏感です。
たばこの臭いか？否、錯覚かな？と半信半疑に思う時期がありました。ですが、今は風向きによっては数十メートル離れていても、たばこの臭いとはっきり分かるようになりました。必ずどこかでたばこに火が付いているんですよね。誰がどこでたばこを吸っていることが的中しても、全くうれしくとも何ともお思わないですけど・・・。

最近になって、度々JR線御茶ノ水駅を乗り降りする機会があります。
御茶ノ水は昌平坂学問所のあった場所で、近代教育発祥の地。さらに３つの有名大学の医学部付属病院があります。日々病気の治癒を願う患者さんや、医療従事者たちが行き交う場所でもあります。

先日も御茶ノ水の駅を降りて聖橋を渡って訪問先に行く途中、「あれ？こんな所でたばこの臭いが・・・」と感じ取ったのです。
２０２０年４月に改正健康増進法・受動喫煙防止条例が施行された。それなのに、都会のド真ん中でたばこの嫌な臭いを嗅ぐことになるとは意外だった。

歩を進めるとビルの１階に喫煙所、いや喫煙室とも言える、喫煙者がさぞかし溜まるでだろう１室がありました。出入口が解放されていたのは、新型コロナの３密対策の名残りか？それともたばこのけむりを逃がす換気のため？理由はどうあれ、そこからたばこのけむりや臭いが外に流れ出たのです。だから私の嗅覚が反応したわけですね。

その喫煙室が禁煙に関する条項を、どの程度守って開設しているかは分かりません。
しかしさまざまな疾患を研究し治療法を確立するための大学病院が並んでいる。その一角に喫煙室が開設されていることは似合わない、ミスマッチな光景だと思ったのです。

たばこは世界的に認められた生活習慣病の原因となる悪習慣です。
病に伏すことがないように予防しよう、罹患したのならなんとか手を尽くして病気の増悪を抑えようとしている医療施設が近くにある。なのに、たばこを吸う場所が提供されている・・・。
もちろん、それら医療施設が喫煙室を開設したのではないでしょう。それにしても腑に落ちない。
一瞬、とある病院の前に、門前薬局ならぬ、門前葬儀屋が営業している現場を思い出してしまいました。

飲酒運転撲滅や、歩きスマホを止めさせるためのアイデアをお伝えしたことがあります。
定期的に呼気ガス検査して、アルコールが検出されたらエンジンが掛からない仕組みにしたり、加速度センサーが反応したりして、歩きスマホの画面をフリーズ状態にしてしまうといったアイデアです。

新型コロナによって在宅勤務や外出自粛を受けて、自宅での喫煙量が約２割、受動喫煙も34％増えたという。（＊１）在宅勤務が勤務体制のひとつとして定着した今日この頃。今人気のゲーミングチェアに座ってたばこを吸っているのでしょうかね？

では、会社の規定に違反している在宅喫煙者をどのように見付けましょうか？
結核予防会の禁煙ポスターにも明記されているように、喫煙後約30分間は有毒ガスが吐き出されています。
又、サードハンドスモークと言って、たばこを吸った人には、呼気だけでなく、髪の毛や衣服にもたばこのけむりがまとわり付いています。（＊２）私は上述の通りの嗅覚で、それがはっきり分かります。

そこでテレワークで使うパソコンに、喫煙の痕跡をキャッチするセンサーを搭載。そして会社に自動で通知される。隠れてたばこを吸ってきた、若しくは吸っている社員を見つけ出すのです。
正直なところ、そんなところに一所懸命にあるなんて、何かと無駄ですよね。だからたばこなんて止めてしまえばよいです。

【関連コラム】　健康増進法改正案の注目点は「受動喫煙対策」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【参考】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊１）2021年９月17日 読売新聞　経済面
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）健検テキスト増補改訂版　喫煙は最大の死亡原因