自律神経のバランスを知ることの大切さ

自律神経活動は日常生活で大いに関わっています。
自律神経とは、自分の意思とは無関係に働いている。自分が置かれている環境の変化にも、自律的に対応している神経です。

知らず知らずのうちにアンバランスになっている時があるのです。
それが自覚症状として「なんか最近からだがだるくて･･･。」とか「イライラしたり、汗も掻いたりするのよね。」と友達に打ち明けたりします。「自律神経のバランスが崩れて体調が悪くなる。」などとテレビやラジオなどメディアでも取り上げられます。スマホの見過ぎが自律神経のバランスを乱す場合もあります。

以前私は脈拍，呼吸，体温，などの生命徴候（バイタルデータ）から、自律神経のバランスを評価する研究に関わっていました。医学，看護学，人間工学，生理学，スポーツ心理学などで、幅広く応用されている分野であることを知りました。

だいぶ前になりますが、勉強のために「日本麻酔学会」に行って来ました。麻酔薬は血圧や心臓から送り出される血液量などの循環動態に関係する、自律神経活動に影響を及ぼしているからです。

その際、久しぶりにとある医科大学の名誉教授と再会しました。その教授とは2017年の生理心理学会で初めてお会いしました。
人の生命力や健康状態を、自らが考案した「健康偏差値」や「五角形バランス評価図」で説明されていました。自分の意志を表現できない発達障害児や、認知症の方々に特殊な療法を処方して、その効果を分かり易く評価するのです。

意志表現できない患者さんに対する思いやりの試みを、その時にもうひとつ思い出しました。確か山形県の看護師の方が手掛けた研究です。
無動，無言状態の患者さんの自律神経活動を知ることで、緊張しているのか？リラックスして穏やかな気持ちでいるのか？を推察する研究です。

もちろん病魔に侵されている患者さんご自身が一番苦しいです。そして看病されているご家族の方々も、患者さんが今何を思っているのか？少しでも喜んでくれているのだろうか？と心配する毎日だと思います。
自律神経活動を評価することで、そんな不安な思いを少しでも和らげてもらえるかもしれない。
思いやりの施策を、自律神経のバランスから生み出そうとしているのです。