信用できるバイタルデータ

体温はからだの調子を知る、一般的な生命兆候（バイタルサイン）です。何だか体調が優れないなと思えば、取り敢えず体温を測る方も多いと思います。

この度の流行り病・新型コロナウイルスのパンデミックでは、公共の場でも家庭内でも、至る所で体温を測りました。胡散臭いハンディータイプの温度計もありましたが、体温計には皆さんもお世話になったでしょう。
悪寒が走れば決まって発熱の証しです。３７度の声を聞けば必ず寒気を感じる私です。３６．９度では感じないからだのだるさを、３７度でちゃんと自覚するのです。
そんな症状だったので、確認のために体温計を薬箱から取り出した。いつもの通り左の脇の下に体温計を挟んだのです・・・。

あれッ！３６度８分。いつもと違う、おかしいな？それだったら、右で測ってみよう。すると３８．２℃が表示された。どちらが正確な体温なのか？症状からして後者だろうと思ったけど、念のためにもう一回左で検温してみた。そうしたら、やっぱり３６．８度。前述したように、通常だったら熱のある時と同じ症状なので、念押しのために右脇で測り直した。すると今度は３９度２分だった。
「体温計をしっかりと脇の下に挟んでいるの？」と家族に疑われてしまった。私だって子どもじゃないから、それくらいは分かっています。けど測定値が２度とか３度も違うのはどうしてなのだろう？？
結局３８～３９度の熱がある状態なのだと判断したのです。
そんなこんなで、それから１週間後に新型コロナの症状が消えていきました。

それにしても今回発覚した測定結果は解せない。そこで自分なりにその疑問の答えを探ってみた。

今市販されている体温計は予測式体温計が主流です。自宅の体温計もそうです。
予測式体温計は書いた字の如く、平衡温を予測する体温計。平衡温はからだの内部と同じくらいの温度になった状態を意味する。本来平衡温を測定するには、脇の下に体温計のセンサーを１０分以上置く必要がある。それをメーカー独自のアルゴリズムで予測して、液晶画面に表示するのです。（＊１）

私の体形はやせ型です。BMI（Body Mass Index ＝ 体重kg÷身長m÷身長m）は１７．６。「低体重」の判定基準（＊２）なので、決して肥満体形ではありません。だから、脇の下のくぼみは急に深くなっている。オーガスタゴルフコースのバンカーみたいです。（笑）
脇を閉じても空洞ができてしまうようです。センサーがしっかりと皮膚に密着し難い。脇の下の空間に体温計のセンサーがちょうど浮いた状態なのかもしれない。そこで体温計を挟んだ腕の上から、もう片方の手でグッと押さえ付けてみたのです。けど結果は変わりませんでした。よほど脇の下にできた凹部の空間がdeepでsharpなのでしょうね。
やっぱり空間の温度を測ってしまうと納得した。その点から言えば、体温計も改良の余地があるのかなと思った。

その後、やせ型の人や測定中脇に挟み続けることが困難な人に配慮された、アイデア商品があることを知った。体温計をそのまま裸（？）で使うのではなく、脇の下によりフィットするアタッチメント（カバー）です。検温終了のお知らせも音の他にバイブレーション機能も搭載されている商品もあります。消費者（コンシューマー）に配慮した心遣いですね。
だけど本体のセンサー部分は、今まで通り先端スティック部分として突き出ています。測る時の安心だけでなく、測定結果の安定も実現されていることも願っています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【出典】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊１）シチズン健康機器総合カタログ ２０２２－２０２３
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）健検公式テキスト増補改訂第２版　肥満は万病のもと