うれしいと思う瞬間

心の底から吐くひとこと。さまざまな場面で偶然耳に飛び込んで来ます。
うれしく響くこともあれば、残念ながら傷ついてしまう場合もあります。出来ることなら、元気を与えてくれるつぶやきを耳にしたいものです。

介護施設で入浴介助を担当しているスタッフが呟いた。ふと漏らした一言が忘れられません。

• 入浴サービスで背中を流してあげた、霧島おばあちゃん（仮称；ご出身が鹿児島県霧島の方なので）が、「背中が無くなったと思うくらい気持ちがよかった。」と仰ったというのです。
• 独歩はできるものの、ぜんそくやら脊柱管狭窄症などを患っているお師匠さん（敬称；日本舞踊の師匠を務めていらっしゃったので）。新型コロナ禍の頃、感染が心配で外に出るのを怖がっていました。それが原因で脚が強張ってしまって、歩くことに不安を抱えるようになった。久々に介護施設にお越しになって、足の運びに自信が付いたらしく、「良くなったよ。ありがとう。」と言ってくれたひとこと。

これらの偽りのないひとことは、サービスを受ける側はもちろんですが、差し上げる側もお世話して良かった！と思う瞬間です。

引きこもりがちな高齢者が、「あそこに行けばうれしいことが待っている」と期待してもらいたい。そうすれば外出する動機付けになります。介護スタッフもモチベーションが高まるというものですよね。ただ新型コロナ感染の恐れが邪魔していた頃は、残念でもどかしかったですね。

• アテネオリンピックの女子柔道で金メダルを獲得した谷本選手。師匠の古賀さんも悩まされた持病、ぜんそくに苦しんだそうです。ようやく症状が改善された時に、「海の中で息ができているみたい。」と表現したという。健常人にとっては、ごく普通のことですよね。なのに、胸中を正直に、そしてありのままの表現で吐露したのです。それを聞いた、谷本選手を受け持った医師が驚いたそうです。（＊１）この瞬間、きっと担当医もうれしかったに違いありませんよね。

自己の利益を顧みない、所謂「献身的行為」は、純粋にお互いがうれしくなって、元気になる瞬間です。疲れも一気に飛んでしまって、ひとときの『休養』になると思うのです。

高齢者や障害者が踏切や信号のある交差点を無事に渡り切れた時、みなさんはどう思いますか？
まだ導入台数は少ないのですが、歩行者の動きをセンサーが感知して、青信号の時間が自動延長する信号も開発されているそうです。（＊２）

困っている人が喜んでくれて、手を差し延べる方も元気になること。　　　　　　　　　　　　　邪心などなく、麻姑掻痒をひとつの目標として、事業展開していきたいと思っています。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【出典】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊１）2020年1月24日 読売新聞 くらし
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）2019年4月6日 同紙 投書面