基準の明確化で自律につなげる。

「飲酒は出世するから気をつけなきゃ・・・。」生前祖母が口癖のように諭していました。
飲酒が日常生活の中で常態化～因習となって、飲む量が段々と増えていく。挙句の果てには身上（財産や社会的信頼）を潰してしまう事への警鐘です。

【関連コラム】　祖母の戒め

食道がん，大腸がん，乳がん，喉頭がん，肝がんなどに罹るリスクも高まる。（＊１）
そこで健検公式テキストでは、健康を損なわないための飲酒の目安が紹介されています。
だけど感覚的に分かり難く曖昧な受け止め方になってしまい、なかなか効果的な節酒への対策となりません。日常節度のないダラダラ飲みをなくさなければなりませんよね。

特にお酒の缶などにアルコールの含有量が、度数（％）で表示されているのは如何なものでしょうか？
アルコールフリー（いわゆるノンアル）が０％は明瞭です。下戸にとっては「４％までなら大丈夫。」と判断するのは、飲んだ後の体調を気遣ってのこと。
お酒を飲み際に、自分の体調変化が許容範囲内にあるアルコール度数を前以て分かっていたとする。だけど、健康的なアルコール摂取量を承知していることとは別だと思うのです。

お酒上戸の人、飲酒が完全に日常化している人にとって、度数高めの表示はアルコール摂取量が増す呼び水になってしまうような気がするのです。「たかだか４％では物足りない！９％でなきゃ！！」と悪い飲酒の慣行に嵌まっていく。呑兵衛に火に油を注いでしまいませんかね？
酔ってしまえば、どのくらいアルコールを体内に入れたのか？顧みることなどありません。

厚生労働省は生活習慣病のリスクが高まるアルコール摂取量を男性は４０ｇ，女性は２０ｇと、グラムによる注意喚起を行っています。

純アルコール量 ＝ アルコール飲料の量 × アルコール濃度 × アルコールの比重です。

さらにアルコール摂取の適量を「１００％のアルコール１０ｇ= 1ドリンク」として、１日２ドリンク，１週間で１４ドリンクと考えられています。（＊２）
単純計算だからといって、飲んだ量をアルコール数にいちいち換算するよりも、始めからグラム表示すれば、感覚的に節酒の目安になりそうです。

「グラム」と聞くと、料理に使う時の塩や砂糖の盛りをイメージします。
軽量スプーンで掬った白い山をすぐさま想像できますよね。だからアルコールがどれくらいからだの中に入るかが、直感的に分かります。飲み過ぎにブレーキを掛けることもできるのかもしれません。

このほど酒類メーカー各社は、一般的に需要の多いビールや酎ハイの缶に、アルコールの含有量をグラム単位で表示することが決まっています。（＊３）
さらに政府も「アルコール健康障害対策推進基本計画」の中で、各種生活習慣病やアルコール依存症を防ぐ対策として閣議決定した経緯があります。（＊４）

緊急事態宣言が解除された後になっても、新型コロナ感決染症の流行の波が押し寄せました。ビールや酎ハイなどを買い込んで、自宅でケジメなくズルズルと飲酒する。そんな愚行に浸っていた方が少なからず居たでしょう。

もともと人体には有毒なアルコールのかたまりを想像してみて下さい。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　          　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【出典】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊1）健検公式テキスト増補改訂版 よいお酒、悪い飲酒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）厚生労働省 Webサイト　eヘルスネット
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊３）2021年3月23日 読売新聞 経済面
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊４）2021年3月26日 日本経済新聞