健康格差を生む因習

健康格差の誘因を一つでも減らしたい。堪え難い寒さから逃れるためには、しっかりとした防寒対策が必須です。強くて品質の悪い酒を飲まざるを得ないような、不健康な状況を何とかしたい。

健康格差は所得，雇用形態，家族構成、そして「地域」が関係しています。（＊１）
喫煙率にもつながる概念です。（健康格差という社会的問題）
地域とは、住んでいる場所特有の『気候』とも解釈できると思います。
以前観た映画「遊星からの物体X」では、南極基地から外に避難せざるを得ない隊員が、その場凌ぎで強そうな酒を飲んでいたシーンがありました。映画の一場面でしたが、極寒の地域では、アルコールを摂取することは寒さに耐えるための常習的行為なのです。チェーンスモーカーならぬチェーンドランカーを生んでしまう。日本のキッチンドランカーとは意味合いが違います。

アルコール度数の高いウオッカを飲用する。極寒の地ロシアではその苦痛から逃れようと多くの人々の常套手段になっています。生きるための術なのでしょう。だから過度な飲酒が横行してしまうのです。
さらにロシアでは経済の悪化のたびに、有害なメチルアルコールが含まれる安価なウォッカが出回って健康が侵されている。コロナ禍の現状も同じで、正規のウォッカの価格高騰もあって、品質の悪いウォッカが蔓延っています。（＊２）
一時的に辛さから逃れることができたとしても、そのうち耐え難い辛さが打ち寄せて来る。もともとアルコールには依存性があるので、「アルコール中毒」はその終着駅です。その場凌ぎで楽になれる方法は、結局薬の力に頼る対処療法と同じです。行く行くは身体的精神的に有害となってしまう。禍去って禍また来る。

私の故郷松本は周囲を山に囲まれた盆地で、北アルプスからおろし風が吹き付けます。シベリアの寒さには到底及びませんが、もともと標高の高い地形でもあり、冬は痛くてしびれる寒さに覆われます。吐く息の蒸気が髪の毛について凍り付きます。
だけど炭や練炭を焼べた掘りごたつは暖かだった。電気こたつでは感じることができない、じんわりだけどしっかりとした暖を取ることができました。雪がちらつく戸外から自宅に帰った時に味わった、至福のひとときでしたね。
そして信州は養蚕業の歴史が深く、お蚕さんの真綿を背中と下着の間にはさんで生活していました。私も祖母がこしらえてくれた真綿を背負って、学校に通ったものです。今バイオの力で蛍光色に光る真綿が開発されているそうで、その蚕綿の紡績糸で編まれたセーターを着込めば、一挙両得に防寒と安全対策に寄与するかも知れません。
シベリアのマイナス４０度の町には全く無力なのかも知れませんが、習慣化された飲酒よる防寒対策から何とか抜け出して欲しいと願っています。

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊１）健検公式テキスト 増補改訂版　ヘルスプロモーションと健康格差
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）2021年11月22日 読売新聞　国際面