低アルコールは “茹でガエル” になる？

玄関先に祀ってある神社の御札が眼に映っても、不法侵入者に対して警告の効果はゼロと言ってよい。御札よりもニセの防犯カメラや警備会社のステッカーの方が、現実的に実勢の防犯効果に期待できる。御札の効果はあくまでも神頼み。防犯対策としてストレートに評価してはいけない。そんなことを思っていると罰が当たってしまうかも（笑）。けどそう思ってしまいます。

生活習慣病に罹る危険度を高める、飲酒量に関する指針案が公表されました。男性４０ｇ以上、女性は２０ｇ以上です。この数値は既に２０２１年には公表されています。（＊１）
アルコール高めの８％場合、缶酎ハイ、リキュール類の５００ミリ缶には３６ｇのアルコールを含んでいるので（＊２）、２本飲めば指針案をオーバーしてしまいます。

 酎ハイやハイボールなどのお酒の缶には、アルコール度数や重さが表示されています。
アルコール度数が８～９％の強めが流行ったと思ったら、最近は軽めの３～４％が売れ筋らしい。（＊２）

お酒に含まれるアルコールの量。含有の割合をパーセント（％）で表示している。その他に単位当たりのグラム数も確認できます。
平成２４年１１月１日最終改正の「酒類の広告・宣伝及び酒類容器の表示に関する自主基準」によると、酒類と健康に関する注意表示の文言例が告知されています。例えばとして、『飲み過ぎに注意』、『お酒は適量を』を挙げています。
確かに飲酒に関する「警告」も記されているけど、その効力は如何許りか？

前述の指針案の公表もあって、飲みやすさを売りにした酒類メーカーの戦略ともいえる。もちろんメーカーが不健康の罠として仕組んでいるのではありません。
けどその飲みやすさが落とし穴なのかもしれない。

【関連コラム】　不健康になる前の“脅し”の表現

大酒飲みを「虎」や「うわばみ（大蛇）」に例えられる。アルコール度数の高いお酒をグビグビ飲むイメージが湧いてしまいます。アルコール度数の高いお酒の方が健康に悪そう。アルコール低めはからだに安全。十分健康に配慮されている。果たしてそうでしょうか？

熱湯風呂に放り込まれたカエルは、その熱さに危険を感じて飛び出します。ぬるま湯に浸かったカエルはいい気分。ところがその身にじわじわと危機が迫っているのに気付かない。そのうちに茹で上がってご臨終・・・。
飲みやすさはアルコールの害を遠ざけることと直結しない。返ってアルコールを飲んでいることがごまかされてしまうのかもしれない。アルコールのぬるま湯に浸かる“茹でガエル”か？

アルコールの回り方が早いかゆっくり目なのか？ドスンと来るのかじわじわ来るのか？どちらも善悪を付けることはできません。
人の欲望は切りがない。どちらでも酒宴が盛り上がれば、体への気遣いなんて関係なくなる。分かっちゃいるけど止められなくなるのがお酒の魔力。アルコールのしわざです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【出典】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊１）健検公式テキスト増補改訂第２版　よい飲酒、悪い飲酒
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（＊２）２０２４年２月１日読売新聞　経済面