病原体と生活習慣病

生活習慣病だって病原体と無縁ではありません。

感染症の原因になる細菌やウイルスも病原体に属します。両者とも目に見えず、知らない内に体内に侵入してくる不安要因です。AMR臨床レファレンスセンターのWebサイトによると、細菌とウイルスの違いは大きさや増殖の仕方、抗生物質などの薬剤の効き目に違いがあるそうです。

みなさんもご承知の「がん」は代表的な生活習慣病です。胃がんとピロリ菌、子宮頸がんとパピローマウイルス、悪性リンパ腫はEBウイルス、肝がんではB型やC型肝炎ウイルスが原因となっています。
そして食道がんは過度の飲酒や、たばこを吸うことが罹患率を高めるのですが、食道がんの患者の口腔内で歯周病の患者に見つかり易い細菌が検出される割合が高いとの研究結果が発表されました。（＊１）
今後更に研究が進んで特殊な病原体を制圧し、食道がんに罹るリスクをもっと減らせることができるかもしれません。

がんの他、糖尿病と歯周病との因果関係は、全身疾患と口の健康が密接な関わりを持っている証拠です。
糖尿病によって免疫機能が低下し、全身の器官にもダメージが及ぶのです。炎症反応が起こるとTFN-αという物質が、血糖値を調節してくれるインスリンの働きを下げてしまうのです。糖尿病と歯周病の深刻化は、お互いが引き起こす負の渦巻（スパイラル）に嵌まることで進行するのです。（＊２）

口の中で分泌される唾液には幾つかの働きがあるのです。抗菌作用もそのひとつです。だから口腔ケアの励行も欠かしてはいけません。

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むかしは介護現場の特徴として、こんなことが囁かれていました。
「下の世話は焼くけど、頭（上）に向かうにつれて等閑になる」と。

その通りだと思っていました。現代の医療や介護の現場では、便利な口腔ケア用品が普及しています。また、口腔の健康に対する意識も向上しています。
けど医療･介護従事者の方々が、口を濯いだ水を吐き出すように促している様子を見るに付け、只々頭が下がる。そして同時に、地道な口腔ケアサポートが、高齢者や障害者の健康を支えていると感心するのです。

お恥ずかしい話し、私は歯を磨くことは１日に１回で良いと勝手に決め付けていました。
暴飲暴食、喫煙の生活が何年も続いていた頃のことです。朝起きた時だけで、しかも大雑把なブラッシングでした。社会人になっても、この悪い癖（？）に染まっていました。
今は生活環境が変わったこともあり、朝と寝る前に加えて、昼食後も入念におこなっています。最近はお昼にブラッシングしないと気が落ち着かなくなってきました。

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新型コロナウイルスという病原体によって、生活様式が大きく変化した。働き方が在宅勤務になった方も多いことでしょう。気兼ねなくブラッシングできる環境を有効活用できます。いつも使っている歯ブラシがすぐそこにありますよ。

　　　　　　　　　　　　　　                　【出典】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　   　（＊１）2020年12月8日 読売新聞 社会面
                                                    　　　　  （＊２）日本健康マスター検定公式テキスト増補改訂版　歯の二大疾患ー歯周病➂