オーラルケアはオーラルマネージメント

公衆衛生の充実とともに、細菌やウイルスによる感染症から身を守る方策が取られるようになりました。生まれてから2ヶ月でインフルエンザ菌B型，小児用肺炎球菌，B型肺炎，ロタウイルスの第１回目の予防接種を受けます。（＊１）
赤ちゃんに限らず、大人も胃がん，子宮頸がんなど、生活習慣病の予防としてワクチンを打ちます。

新型コロナのパンデミックで「免疫」という単語が、メディアを始めとして知人との会話の中でも、より多く聞かれるようになりました。
免疫は体液性と細胞性に大別される。体液性免疫は免疫グロブリン（Immunoglobulin）とも称される。免疫グロブリンは代表的な抗体として、G，A，Mなどのクラスがあります。略してそれぞれIgG，IgA，IgMと表記されます。血液から血清を分離させて電気泳動法という分析方法を用いると、グロブリン基本５分画の中にIgG，IgA，IgM等が存在していることがはっきりと確認できます。

社会人１年生で臨床検査に携わっていた頃がなつかしい。特定の病気に罹ると特異的な抗体が体内で産生されます。その特異抗体が検出されれば、罹患している病気の診断にたいへん役立ちます。
もちろんこれらの免疫成分は血液中だけに存在するのではありません。疑われる疾患によっては、どこの部位の体液（分泌液）を検査するかによって、診断に至る精度が高まります。涙液や脊髄液、へその緒から採取した臍帯血などです。要するに調べる検体もいろいろあるわけです。

その中に「唾液」があります。唾液は血液から作られるので、重要な検体であることが理解できます。
口腔の粘膜から忍び込むウイルスに絡み付いてガードしてくれる味方です。そのガードマン役は上述のIgAが担っているのです。（＊２）

ウイルスvs IgA。
病気に冒されたら後の祭りです。オーラルケアはオーラルマネージメントとも言えるのではないでしょうか！？
IgAの能力を十分に発揮できなければ宝の持ち腐れです。
自らが産み出す守護神の体勢が手薄にしてしまう原因は何だろう？それは日頃の生活習慣が深く係わっている。

IgAにだって万能ではないし、限界だってある。多勢に無勢、潜移暗化ではIgAは参ってしまう。
免疫を兵隊に例えれば、先ずは加勢してくれる味方の多い方がイイ。そして2つ目には兵隊たちが活躍できる環境を整えてあげることもたいせつです。有能な兵隊さんに仕立てるには、時としてお膳立ても必要です。
お口の中が不衛生で、しっかり歯みがきしていないのは言語道断です。唾液の分泌を促がすには、食事中によく噛むこと。しっかりと咀嚼運動すれば早食いがなくなり、満腹中枢が刺激されて食べ過ぎが抑えられます。そして酸味のある食品を食べることで、条件反射を応用するのも手なのかもしれませんね。

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重ねて唾液腺マッサージも効果的です。

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 IgA兵隊さんが働き易くマネージメントとして、口腔の乾きを抑えることにも要注意です。

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 更にお酒のマイナス効果も軽んじてはいけませんよね。
歯を磨きもせずにダラダラ飲みして酔いつぶれる。そんな生活習慣では、せっかくのIgAを窮地に追い込んでしまいます。確かに深酒した翌朝のお口の中の状態は最悪。みなさんも十分イメージできるでしょう。

重ねて申しますが、宝の持ち腐れは実にもったいない話しですよね。せっかくのIgA門番の手足を縛って、さあ戦いなさい！と酷なことを命令しているようなものです。

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　　　　　　【出典】
　　　　　　　（＊１）健検公式テキスト増補改訂第２版　ワクチンで予防する
　　　　　　　（＊２）２０２０年１月２５日読売新聞　ニューノーマル時代のオーラルケアの重要性と免疫・唾液の高め方